03 事業概要
銘柄:東京ガス(9531) 更新日:2026年5月16日
事業概要(3行サマリー)
東京ガスは首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を供給エリアとする国内最大の都市ガス会社であり、都市ガス・電力小売・LNG上流権益・海外エネルギー・不動産等を一体的に展開している。LNG国際調達コストが業績変動の最大要因であり、FY2026(2026年3月期)純益は2,268億円とFY2025(742億円)から大幅回復、米国シェールガス価格上昇と低気温が寄与した。中長期の成長ドライバーは米国LNG権益(Freeport LNG等)の利益拡大・北米シェールガス事業、およびCO2フリーガス・水素・CCUS等の脱炭素事業と再エネ発電容量100万kW目標(Compass 2030中計)。
セグメント別収益構成(直近決算期:2026年3月期)
セグメントデータはirbank取得データ(2025/03期まで)とWebSearch(FY2026決算短信)を使用。
注意: irbank集計ではセグメント利益合計(都市ビジネス234億+海外189億-ネットワーク31億+E&S1,207億≒1,599億)と連結営業利益(FY2025: 1,331億)に乖離がある。消去・調整等が本社費用として計上されているため、セグメント利益合計と連結営業利益は定義が異なる(脚注参照)。
| セグメント | 売上高(億円) | 構成比 | 営業利益(億円) | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー・ソリューション(E&S) | 約23,100 | 約82% | 約1,502 | 約76% | 約6.5% | D4/F1 |
| 海外 | 約1,806 | 約6% | 約671 | 約34% | 約37% | D2/F1 |
| ネットワーク | 約971 | 約3% | ─ | ─ | 赤字 | D2 |
| 都市ビジネス | 約507 | 約2% | 約234 | 約12% | 約46% | D2 |
| 消去・調整等 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
| 合計(連結) | 28,347 | 100% | 1,977 | 100% | 7.0% | F1 |
※セグメント利益は調整前個別合計。連結営業利益1,977億(FY2026実績、前期比+48.5%)はセグメント間消去・本社費用控除後の数値。
※E&S(エネルギー・ソリューション)は旧ガス事業+電気事業の統合セグメント。
※海外セグメントは北米シェールガス事業の販売単価上昇で大幅増益(FY2025: 189億→FY2026: 約671億)。
※ネットワークセグメントは設備投資・維持コストが大きく構造的に赤字。
出所:irbank(D2)、東京ガスFY2026決算短信(F1)
強み・弱み
強み:
- 首都圏における都市ガスインフラの独占的地位と約700万件の家庭顧客基盤(参入障壁が極めて高い)
- LNG輸送・タンク設備・Freeport LNG等の上流権益による調達コスト安定化余地
- 北米シェールガス事業がFY2026に急激に収益貢献(海外セグメント利益3.5倍以上)
- Compass 2030中計のもと脱炭素事業(水素・CCUS・CO2フリーガス)への先行投資が進む
弱み:
- LNG価格変動への高依存(FY2025純益742億→FY2026: 2,268億と乱高下)
- 電気事業(電力小売)は電力市場競争激化で収益性が低い
- オール電化・ヒートポンプ普及による家庭用ガス需要の長期的減少
- FY2027業績予想は純利益39.6%減(1,370億)と一時益剥落・シェールガス価格正常化を見込む
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率はFY2022〜FY2025で5〜16%と変動幅が大きく、LNG価格依存度の高さが課題。ただしFY2026回復(7%)で中期的には5〜7%レンジが基本線と見られる。ROEはFY2025の4.3%(純益742億/自己資本17,254億)からFY2026は推定12〜13%超に大幅改善。
- 競争優位の方向性: 都市ガスインフラの独占性は維持。海外エネルギー事業は北米シェールガス好調で拡大局面。脱炭素分野では大阪ガスとの競争激化だが先行投資で先行。
- 株価との関係: PER24.8(D4)は利益急回復局面としては適正水準。PBR1.31は電力・ガス大手としてやや割高。FY2027の急減益予想(純益1,370億)が織り込まれ始めると再調整リスクあり(※AI推定)。
▼ セグメント内訳・中計(詳細)
エネルギー・ソリューション(E&S)
- 旧来のガス事業(家庭用・業務用・工業用都市ガス、LNG調達・製造)と電気事業(電力小売・コジェネ)を統合したセグメント
- FY2026: 都市ガス販売量は工業用・他事業者向け減少で若干減だが、低気温影響で家庭用増加が補完
- 電力は小売件数増加+卸需要増で販売量増加
海外
- 米国Freeport LNG(液化プロジェクト権益)、Texas州天然ガス開発等
- FY2026: 北米シェールガスの販売単価上昇が主因で大幅増益(前期比約3.5倍)
ネットワーク
- ガスパイプライン・配管の保守・運営(インフラ事業)
- 設備投資負担が大きく、単体では赤字構造。設備投資額はFY2025に1,306億円(前期比+224%)と急増
都市ビジネス
- 不動産(パークハイアット東京等)、エンジニアリング、エネルギーサービス等
- FY2026: パークハイアット東京のリニューアル費用増加で減益
中期経営計画(Compass 2030)
- 計画期間: 2026〜2030年
- 目標: CO2フリーガス・グリーン水素の商用化、再エネ発電容量100万kW、CCUS事業の実証・商業化
- 海外エネルギー事業(北米シェールガス・LNG権益)の利益貢献拡大
出所:東京ガスFY2026決算短信(F1)、irbank(D2)、株探(F2)。2026年5月16日現在。