03 事業概要
銘柄:関西電力(9503) 更新日:2026年5月16日
事業概要(3行サマリー)
関西電力は近畿2府4県を主要供給エリアとする大手電力会社で、エネルギー事業・送配電事業・情報通信事業・生活・ビジネスソリューション事業の4セグメントを展開する。国内電力各社の中で原子力発電の活用率が際立って高く、FY2025(2025年3月期)は連結営業利益4,689億円・売上高4.34兆円を達成、原子力フル稼働による低コスト構造が強みである。中長期では「経営計画2026」(2026年4月策定)のもとで送配電ネットワーク強化・再エネ拡大・海外展開・DX推進を軸に成長を目指す。
セグメント別収益構成(直近決算期:FY2025 2025年3月期)
セグメントデータはirbank取得済み(D2相当)。利益列は経常利益ベース(営業利益非開示)。連結営業利益4,689億円とはベース定義が異なる。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 経常利益① | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー事業 | 35,400億円 | 81.5% | 4,113億円 | 79.4% | 11.6% | D2 |
| 送配電事業 | 3,891億円 | 9.0% | 558億円 | 10.8% | 14.3% | D2 |
| 情報通信事業 | 2,236億円 | 5.1% | 469億円 | 9.0% | 21.0% | D2 |
| 生活・ビジネスソリューション事業 | 1,836億円 | 4.2% | 262億円 | 5.1% | 14.3% | D2 |
| 調整・消去等 | ─ | ─ | ─5,980億円 | ─ | ─ | D2 |
| 合計(連結) | 43,363億円 | 100% | 5,422億円(経常) | 100% | 12.5% | D2 |
①利益列ヘッダー: セグメント経常利益ベース。連結営業利益4,689億(利益率10.8%)とは定義が異なる。調整・消去はセグメント間取引消去および本社費用等を含む。
エネルギー事業の利益率がやや低めに見えるのは電力調達・燃料費コストが大きいためで、送配電・情報通信セグメントはインフラ的安定収益構造のため利益率が高い。
強み・弱み
強み:
- 原子力高稼働率による低コスト構造: 大飯・高浜・美浜の計7基を保有、国内最大級の原子力発電能力を有し、燃料費負担が小さい(FY2024の原子力回帰で営業利益7,289億→FY2025は4,689億に正常化)。
- 安定した送配電インフラ: 法的分離後も送配電会社(関西電力送配電)を傘下に持ち、エリア独占の安定収益基盤を維持。情報通信(BBIX・オプテージ系)も高利益率(21%)を実現。
- 財務改善の加速: FY2023の自己資本17,888億から2年でFY2025は30,659億へ大幅回復、自己資本比率・財務健全性が大きく向上。
弱み:
- 原子力依存リスク: 原子炉手動停止(2026年5月・美浜3号機)が示すように、稼働率低下時の利益振れ幅が大きい。FY2027予想は経常利益44%減(2,900億)と急落見込み。
- 規制・政策リスク: 小売電力市場の自由化・系統接続義務・再生可能エネルギー優先給電ルールが収益に影響し、規制当局との関係が業績を左右する。
- 地域集中: 事業エリアが近畿中心であり、人口・産業集積の縮小で長期的な電力需要の頭打ちリスクがある。
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率はFY2023の▲1.3%(赤字)から回復しFY2025は10.8%に達したが、FY2027会社予想では大幅減益見通し。原子力稼働率次第で変動幅が大きく、均一維持は困難。ROEはFY2025実績約12%台推定(純利益4,204億÷自己資本30,659億)で電力大手の中では高い水準。
- 競争優位の方向性: 原子力ポートフォリオの面では東京電力・中部電力より優位を維持するが、再エネシフトの本格化で低廉な原子力コストアドバンテージが薄れる可能性がある。情報通信・ソリューション事業の拡大は差別化方向として評価できる。
- 株価との関係: PER7.1倍・PBR0.85倍(2026年5月時点)と割安水準。ただしFY2027の大幅減益予想を反映しPBR1倍回復には時間を要する見込み(※AI推定)。配当利回り2.57%と還元方針強化(配当80円/株予定)が下値を支える。
▼ セグメント内訳・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- エネルギー事業: 電力小売(規制・自由化)、ガス供給、海外エネルギー事業
- 送配電事業: 送配電ネットワーク運用・維持(関西電力送配電)
- 情報通信事業: 光ファイバー(eo光等)、データセンター、クラウド(オプテージ・BBIX)
- 生活・ビジネスソリューション事業: 不動産・建設(きんでん等)、生活サービス
セグメント別設備投資(FY2025)
- エネルギー事業: 2,557億円(前年比+25.2%)
- 送配電事業: 1,623億円(+10.5%)
- 情報通信事業: 447億円(+8.6%)
- 生活・ビジネスソリューション事業: 722億円(+8.8%)
中期経営計画「経営計画2026」(2026年4月30日策定)
- 計画期間: 2026〜2030年度
- 主要施策: 原子力最大活用、再エネ拡大、送配電強化、DX推進、海外展開加速
- 株主還元方針: 配当性向引き上げ・自社株買い積極化(F1)
出所:関西電力IR(F1)、irbank(D2)、株価データ(D4)。2026年5月16日現在。