03 事業概要
銘柄:ANAHD(9202) 更新日:2026年5月16日
事業概要(3行サマリー)
ANAホールディングスは全日空(ANA)を核とする日本最大の航空グループで、国内線・国際線の旅客・貨物事業に加え、航空関連・旅行・商社事業を展開する。2026年3月期に過去最高純利益1,690億円を達成し、売上高は2兆5,392億円(前期比+12.3%)と回復・成長軌道を確立した。国際線旅客を主軸とした収益拡大と機材拡充投資が中長期の成長ドライバーとなる一方、燃油費変動リスクへの対応が課題として残る。
セグメント別収益構成(2026年3月期)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 航空事業 | 23,132億円 | 91.1% | 1,991億円 | 8.6% | F1/D2 |
| 航空関連事業 | 3,616億円※ | 14.2% | 40億円 | 1.1% | D2 |
| 旅行事業 | 653億円 | 2.6% | 2億円 | 0.3% | F1/D2 |
| 商社事業 | 1,542億円※ | 6.1% | 46億円 | 3.0% | D2 |
| その他 | 497億円 | 2.0% | 23億円 | 4.6% | D2 |
| 合計(連結) | 25,392億円 | 100% | 2,174億円 | 8.6% |
※セグメント間取引を含む。セグメント利益合計が連結営業利益2,174億円と乖離するのは、本社費用・消去等が含まれないため(IFRS類似の構造的差異)。
セグメント別売上高はF1(TRAICY記事・IR資料)より取得。セグメント営業利益はD2(irbank)より取得。
利益率差のメカニズム: 航空事業が全体利益の約92%を占める一方、旅行事業の利益率が0.3%と低水準な理由は、消費者向けパッケージ旅行の価格競争と人件費コスト構造による。航空関連事業は整備(MRO)・空港サービス等の固定費型ビジネスで利益率が航空本体より低い。
強み・弱み
強み:
- 国内線シェア約40%(JALと拮抗):高密度な国内ネットワークと羽田・成田のハブ優位により、国際線乗継需要も取り込む
- ANAマイレージクラブ会員3,900万人超:ロイヤルカスタマー基盤が安定した需要を創出し、他社乗換抑止として機能
- 機材投資の加速(設備投資2,469億円/期):最新燃費効率機(B787・A320neo等)の導入により長期的な燃油コスト低減と収容力拡大が可能
弱み:
- 燃油費感応度の高さ:燃料費が売上コストの約25〜30%を占め、中東情勢等による原油高が2027年3月期の営業利益を▲31%押し下げる主因となる見込み
- 来期(2027年3月期)の大幅減益予想:営業利益1,500億円(▲31%)、純利益960億円(▲43%)と市場への短期ネガティブサプライズリスクが顕在化
- 有利子負債残高の高止まり:コロナ禍で膨らんだ借入が続き、財務レバレッジが競合航空会社比でやや高い
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 過去5期の営業利益率はコロナ禍赤字(FY2022: -17%)→回復(FY2023: 7%)→安定(FY2024-25: 10%前後)と改善トレンドにあるが、FY2027予想では燃油費急騰により8.6%→約5.4%へ低下見込み。ROEはFY2025実績13.5%前後だが来期急減が予想され、持続性には条件付きの評価が妥当。
- 競争優位の方向性: JALとの国内2強体制は安定的に継続。国際線では欧州・北米路線の拡充と燃費効率機の優位性が差別化に寄与。ただし燃油費の急騰局面ではJAL・海外LCCとの価格競争で優位が縮小するリスクがある。
- 株価との関係: PER 9.8倍・PBR 1.12倍(2026年5月15日現在)はセクター平均並みまたはやや割安圏。来期大幅減益を織り込む形で株価は▲17%(6ヶ月)下落済みであり、燃油費の落ち着き次第でバリュー投資機会となる可能性がある(※AI推定)。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- 航空事業: 国際線旅客(8,789億円・旅客902万人)、国内線旅客、貨物・郵便
- 航空関連事業: 機体整備(MRO)、空港地上支援、ケータリング
- 旅行事業: ANA X社(パッケージ旅行)
- 商社事業: ANAトレーディング(航空部品・食品等)
地域別売上(概算・※AI推定)
- 国際線(アジア・北米・欧州): 売上の約35%
- 国内線: 売上の約30%
- 貨物・その他: 約35%
中期経営計画(ANA GROUP 2030 ビジョン)
- 計画期間: 2025〜2030年度
- 主要施策: 国際線ネットワーク拡充、MaaS(Mobility as a Service)推進、デジタル変革、非航空事業の収益多様化
- 機材投資: 計画期間中の大規模機材更新(B777後継機等)
出所:ANA HOLDINGS決算短信・TRAICY(F1)、irbank(D2)、株価データ(D4)。2026年5月16日現在。