03 事業概要
銘柄:ヤマトHD(9064) 更新日:2026年5月16日
事業概要(3行サマリー)
ヤマトホールディングスは国内最大手の宅配便事業者「クロネコヤマト」を中核とし、エクスプレス・コントラクト・ロジスティクス・グローバル・モビリティの4セグメントで物流ソリューションを展開する。全国約3,700拠点・従業員18万人超の配送網と「宅急便」ブランドの圧倒的認知度を持ち、個人向けECから企業間物流まで幅広い顧客基盤を有する。中期経営計画「YAMATO NEXT100」のもと構造改革(単価是正・コスト削減・M&A)を推進し、2027年3月期に営業利益420億円(前期比+48%)回復を目標とする。
セグメント別収益構成(直近決算期)
データ出典: get_irbank_segment.py(D1)、irbank.net(F1)。2026年3月期(FY2026)の完全なセグメント別数値は irbank の四半期データより取得。2025年3月期(FY2025)は4セグメント確認済みだが、2026年3月期(FY2026)は「その他」のみ確認済み。
2026年3月期のセグメント別完全データは決算短信PDFに記載されるが、取得可能な情報を基に以下に記載する。
2025年3月期(FY2025)セグメント別実績(irbank取得、確認済み)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| エクスプレス事業 | 1兆5,306億円 | 86.8% | ▲129億円 | ▲0.8% | D1 |
| コントラクト・ロジスティクス事業 | 971億円 | 5.5% | 55.8億円 | 5.7% | D1 |
| グローバル事業 | 860億円 | 4.9% | 90.3億円 | 10.5% | D1 |
| モビリティ事業 | 205億円 | 1.2% | 37.8億円 | 18.4% | D1 |
| その他 | 245億円 | 1.4% | 82億円 | 33.5% | D1 |
| セグメント間消去 | ─ | ─ | ─ | ─ | |
| 合計(連結) | 1兆7,626億円 | 100% | 142億円 | 0.8% | D4 |
エクスプレス事業は売上の9割近くを占めながら赤字。構造改革の主戦場であり、単価是正・取扱数量コントロールが利益回復の鍵。コントラクト・ロジスティクスとグローバルは成長・高利益率セグメントとして育成中。
2026年3月期(FY2026)連結サマリー
| 指標 | 実績 | 前期比 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆8,657億円 | +5.8% | F1 |
| 営業利益 | 283億円 | +99.2% | F1 |
| 純利益 | 137億円 | ▲64.0% | F1 |
| 営業利益率 | 1.5% | +0.7pt | F1 |
純利益の大幅減は連結子会社株式譲渡に伴う特別損失(2026年5月14日開示)、のれんの一時償却等の特別損失が響いた(2026年4月30日開示)。
強み・弱み
強み:
- 圧倒的な宅急便ブランドと全国配送網: 国内シェア首位級。約3,700拠点・18万人超の従業員を擁し、個人・法人双方に不可欠なインフラを形成。
- 多角的な物流事業ポートフォリオ: エクスプレス(宅配)に加え、コントラクト・ロジスティクス、グローバル物流、モビリティと分散した収益源を持つ。グローバル事業・CL事業は利益率10%超の高収益。
- 構造改革の着実な進行: FY2025→FY2026で営業利益142→283億円(+99%)と回復基調が明確化。単価是正と非効率路線の絞り込みが奏功。
弱み:
- エクスプレス事業の構造的赤字: 主力セグメントが FY2025 時点で▲129億円の営業赤字。EC需要取り込みと単価改善のバランスが依然不安定。
- 利益の質の低さ(特別損益の多さ): FY2026純利益▲64%は特別損失の影響。経常利益と純利益の乖離が大きく、一時費用の継続リスクが残る。
- ROE低下: FY2026 ROEは2.39%(FY2022の9.48%から大幅悪化)。PBR0.93倍の割安水準の主因となっており、株主還元圧力が高まりやすい。
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率は FY2022の4.3%→FY2026の1.5%と低下傾向が続くが、FY2026で底打ち・回復の兆し。FY2027ガイダンス(420億円・利益率2.2%)が達成されれば上昇トレンドに転換できるが、依然低水準。
- 競争優位の方向性: 宅配大手3社(ヤマト・佐川・日本郵便)の競争環境は依然激しい。ヤマトは単価是正と量の絞り込みで利益改善を優先し、シェア争いより収益性を重視する方向へシフト中。短期的には競争優位の縮小リスクがあるが、ブランド力・網の維持により中期的に持続可能と推定。
- 株価との関係: PER16.0倍(FY2025実績EPS基準)・PBR0.93倍。ROEが2〜6%台で推移する中でPBR割れ状態は理論的に適正。来期EPS50.52円前提だとPERは約34倍と割高感。ただし構造改革の進捗が確認されれば再評価余地あり(※AI推定)。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- エクスプレス事業: 宅急便・宅急便コンパクト・クール宅急便等の個人向け・法人向け小口宅配。国内売上の大宗を占める。
- コントラクト・ロジスティクス(CL)事業: 企業向け3PL・倉庫管理・流通加工。EC物流受託が成長ドライバー。
- グローバル事業: 国際物流・越境EC対応。アジア・欧米向け越境EC需要の取り込みを推進。
- モビリティ事業: 法人カーリース・フリート管理。低い売上規模だが利益率18%と高収益。
- その他: グループ内サービス・不動産等。
中期経営計画
- 計画名: YAMATO NEXT100(2023〜2026年度)
- FY2025(当初目標): 営業利益700億円(実績142億円と大幅未達 → 中計目標を大幅下方修正済み)
- 修正後FY2026目標: 利益回復路線を堅持しつつ、来期(FY2027)営業利益420億円を新たな目標に設定
出所:ヤマトHD IR(F5)、irbank(F1)、D4(prices.db fundamentals)。2026年5月16日現在。