03 事業概要
銘柄:東京建物(8804) 更新日:2026年5月15日
事業概要(3行サマリー)
東京建物は三菱グループ系の総合不動産会社で、都心オフィスビル賃貸・開発(ビル事業)・「Brillia」ブランドの分譲マンション(住宅事業)・不動産ファンド運用(アセットサービス)を三本柱とし、東京駅前(八重洲)・丸の内・池袋等の一等地に強固な開発・保有ポートフォリオを持つ。ビル事業の営業利益率30.5%(2025-12FY)は大手不動産各社の中でも高水準で、大型再開発パイプライン(八重洲二丁目北地区2026年竣工予定)が中長期の収益基盤を下支えする。中期経営計画(2025–2027年度目標: 事業利益950億・ROE10%)のもと、2026年5月にはスター・マイカHD(中古マンション買取再販)へ89億円出資し、中古住宅という新軸を追加した。
セグメント別収益構成(直近決算期)
データ出所: irbank セグメントデータ(F1)、2025年12月期(2026年2月12日開示)
| セグメント | 売上高(億円) | 売上構成比 | 営業利益(億円) | 利益構成比 | 営業利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ビル | 2,202 | 46.4% | 671 | 70.0% | 30.5% | F1 |
| 住宅 | 1,651 | 34.8% | 256 | 26.7% | 15.5% | F1 |
| アセットサービス | 635 | 13.4% | 115 | 12.0% | 18.1% | F1 |
| サービス・その他/消去 | 258 | 5.4% | △84 | — | — | F1 |
| 合計(連結) | 4,746 | 100% | 958 | 100% | 20.2% | D4 |
※セグメント利益合計(約1,084億)と連結営業利益(958億)の差約126億は、セグメント間消去・全社費用による(日本基準)。
※2025-12FY: ビル事業が投資家向け物件売却増で売上+24.7%・営業利益+62%と牽引。住宅は引渡し件数減で売上△21.9%・営業利益△33%と大幅減。
強み・弱み
強み:
- ビル事業の高営業利益率(30%超)によるストック収益基盤——都心一等地の希少性と長期テナント契約が参入障壁
- 八重洲二丁目北地区(東京駅前)等の大型再開発パイプライン——既着工で竣工時期が可視化されている
- 「Brillia」ブランドによる高付加価値分譲マンションの首都圏認知と継続供給力
- スター・マイカHDとの資本業務提携(2026年5月、89億円出資・議決権13.75%)による中古住宅買取再販への事業領域拡張
弱み:
- 住宅事業のマンション引渡し件数が年度間でばらつき、業績ボラティリティを拡大させる(2025-12FY: △21.9%の急落後、1Q2026も55%経常減益)
- 大型再開発の竣工・売却タイミングへの利益集中:特定年度に利益が偏りやすい構造
- 規模格差(三井・三菱地所・住友不動産比で売上1/3〜1/5):ファンド組成規模・テナント交渉力で大手に劣後
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率は過去5期で17〜20%帯を維持し2025-12FYに20.2%へ上昇。ビル事業(利益率30%超)の構造的優位は都心一等地という希少資産に依拠しており、近期での急激な悪化リスクは限定的。ROEは2021–2024期で8〜12%推移、中計目標10%は達成可能な水準。
- 競争優位の方向性: 八重洲エリアの再開発はライバル大手も同地区で展開するが、東建物は先行着工段階にあり優位性は当面維持。中古住宅事業はスター・マイカとの提携で新市場に参入したばかりで差別化が確立されていない。
- 株価との関係: PBR1.17x・PER13.6x(2026-05-14、D4前期実績EPS283円ベース)——ROE10%前後の企業としてPBR1倍超は概ね適正圏。2026通期EPS約303円(※AI推定: 純利益630億÷208M株)ベースのPER約11xは割安感があるが、住宅事業の短期悪化と高金利環境が株価を抑制しており、アナリスト目標株価3,187円(D4、2026-05-08)は現値(3,345円)をやや下回る水準。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
ビル事業(売上比46.4%、利益比70%):
- 東京駅前(八重洲)・池袋・渋谷・大阪等の大型オフィスビルを長期保有・賃貸運営。投資家向け物件売却(インカム+キャピタルゲイン)も主要収益源。
- 2025-12FY: 売上2,202億(+24.7%)、営業利益671億(+62%)——投資家向け売却増が主因。
- 2026年竣工予定の八重洲二丁目北地区(大規模複合再開発)が次期収益柱。
住宅事業(売上比34.8%、利益比27%):
- 「Brillia」ブランドの首都圏分譲マンション(高付加価値帯中心)。
- 2025-12FY: 売上1,651億(△21.9%)、営業利益256億(△33.0%)——引渡し件数減少。
- 中古住宅事業強化を目的に2026年5月スター・マイカHD(2975)へ89億円出資(議決権13.75%、第2位株主)。中古物件の買い取り再販・一棟リノベーション・住宅設備の共同調達で協業。
アセットサービス事業(売上比13.4%、利益比12%):
- 不動産仲介・賃貸管理・私募ファンド運用・コンサルティング。
- 2025-12FY: 売上635億(+15.9%)、営業利益115億(△0.5%)。
地域別売上構成(概算):
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉): 約85%
- 大阪・名古屋等主要都市: 約12%
- 海外(シンガポール・豪州等): 約3%
中期経営計画(2025–2027年度):
- 連結事業利益950億円(2027年12月期)、ROE10%以上
- 財務指針: D/Eレシオ2.4倍程度、有利子負債/EBITDA12倍程度
- 配当性向: 2027年度に40%目標(2026年: 配当予想122円、配当性向40.2%)
- 主要施策: 大規模再開発推進、分譲マンション強化、投資家向け物件売却拡大、海外(米国・豪州等)事業成長
出所:東京建物 2025年12月期決算短信(F5)、irbankセグメントデータ(F1)、中期経営計画(F5)、日経電子版(F1)。2026年5月15日現在。