03 事業概要
銘柄:リコー(7752) 更新日:2026年6月19日
事業概要(3行サマリー)
リコーは複合機・プリンターを核とするオフィス機器メーカーからデジタルサービス企業への変革を進める総合ICT企業で、グローバル200か国超に直販ネットワークを持つ。FY2026(2026年3月期)は売上2兆6,083億円(+3.2%)・営業利益907億円(+42.1%)と2期連続増益を達成し、ETRIAジョイントベンチャー(東芝テックとのMFP開発・生産JV)のコスト削減効果と为替追い風が主因。中期経営戦略'26(2026〜2030年度)では「ワークプレイスのインテグレーター」への進化を掲げ、ITサービス・マネージドサービスを軸としたデジタルサービス売上構成比60%以上・FY2027営業利益950億円を目標とする。
セグメント別収益構成(直近決算期)
FY2025(2025年3月期)。セグメントデータはirbank取得(FY2026/03分は未公表のため1期前を掲載)。セグメント利益はIFRS当期利益ベース(連結営業利益は定義が異なる)。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | セグメント利益※ | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| デジタルサービス | 19,300億円 | 64.8% | 323億円 | 1.7% | F1 |
| デジタルプロダクツ | 5,846億円 | 19.6% | 287億円 | 4.9% | F1 |
| グラフィックコミュニケーションズ | 2,927億円 | 9.8% | 232億円 | 7.9% | F1 |
| インダストリアルソリューションズ | 1,132億円 | 3.8% | ▲18億円 | 赤字 | F1 |
| その他 | 562億円 | 1.9% | ▲56億円 | 赤字 | F1 |
| セグメント計 | 29,767億円 | 767億円 | 2.6% | ||
| 連結(消去後) | 25,279億円 | 100% | 638億円(営業利益) | 2.5% | D4 |
※セグメント売上高は内部取引消去前(消去額約4,488億)。構成比はセグメント計を母数として計算。
※セグメント利益(IFRS当期利益ベース)と連結営業利益638億は定義が異なる。
※FY2026(2026年3月期)連結業績:売上高2兆6,083億円(+3.2%)、営業利益907億円(+42.1%)(F2)。セグメント別内訳はirbank未取得。
デジタルサービスは規模最大だが利益率1.7%と低い。グラフィックコミュニケーションズ(7.9%)が最高利益率。インダストリアルソリューションズとその他は赤字継続。
強み・弱み
強み:
- グローバルチャネル力: 200か国超での直販ネットワーク。大企業顧客との長期MDS(マネージドドキュメントサービス)契約が高い顧客離脱障壁を形成
- ETRIAコスト優位: 東芝テックとのMFP開発・生産JV(2024年組成)によりFY2025デジタルプロダクツ利益+65.4%と急改善。FY2026もコスト削減継続
- GC事業収益性: 商業印刷・ワイドフォーマット印刷は利益率7.9%と高水準。ニッチ特化で競合少ない
- 自社株買い・増配継続: FY2026で自社株消却も実施(2026年5月12日開示)。FY2027配当44円(+4円増配)予定
弱み:
- サービス利益率の低さ: デジタルサービスは売上の65%を占めるが利益率1.7%。人件費・システム費が重くスケール効果が出にくい
- インダストリアル赤字継続: IS(サーマルメディア等)は複数期で赤字継続。ポートフォリオ改革の進展が遅れ気味
- MFP市場の構造的縮小: ペーパーレス化加速でハードウェア販売減少が中長期リスク
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: FY2026営業利益907億(利益率約3.5%)はFY2023以来の高水準を回復。ETRIAシナジーと円安追い風が同時に奏功した結果であり、構造的な改善としては引き続き確認中。FY2027目標950億(+4.7%)は円安前提が含まれるため、為替変動リスクに注意。
- 競争優位の方向性: MFP市場は成熟・縮小フェーズ。富士フイルムBI・コニカミノルタ・キヤノンも同方向のサービス化を指向。ETRIAによるコスト優位は短中期の強みだが、差別化の永続性は不透明。
- 株価との関係: PBR 0.82×(FY2026時点、D4)はROE改善を反映し前期(0.72×)から改善。アナリスト目標株価1,399円(中立、D4 2026年5月22日)に対し現在値1,482.5円はアナリスト目標をやや上回る水準で、業績好転を織り込み済みの印象(※AI推定)。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- デジタルサービス: マネージドドキュメントサービス、クラウド・ITアウトソーシング、スマートワークプレイスソリューション、ITサービス・アプリケーションサービス
- デジタルプロダクツ: 複合機(MFP)、レーザープリンター、消耗品(ETRIA JV含む)
- グラフィックコミュニケーションズ: プロダクションプリンター、ワイドフォーマット、ソフトウェア
- インダストリアルソリューションズ: サーマルメディア(POSレシート紙)、産業用ソリューション
中期経営計画
- 計画: 中期経営戦略'26(2026〜2030年度)。5年先見通し・毎年ローリング更新方式
- 目標: 「ワークプレイスのインテグレーター」へ進化。デジタルサービス売上構成比60%以上
- FY2027会社予想: 売上2兆7,000億円、営業利益950億円、配当44円(F2)
- 前計画(第21次): 売上目標2兆3,500億に対し2兆6,083億と超過達成
自社株買い・資本政策
- 2026年5月12日:自社株取得(200億円枠)及び自己株式消却を同時決定(D2)
出所:F1(irbank.net セグメントデータ)、F2(WebSearch: FY2026決算・FY2027ガイダンス)、D4(prices.db fundamentals)。2026年6月19日現在。