03 事業概要
銘柄:ヤマハ発(7272) 更新日:2026年6月10日
事業概要(3行サマリー)
ヤマハ発動機は二輪車世界第2位・船外機世界首位の総合モビリティメーカーで、ランドモビリティ(売上比率約64%)を主力に、マリン・金融サービス・ロボティクス・OLVなど5セグメントを展開し、売上の約9割が海外に集中する高度グローバル企業である。中核の二輪車事業では東南アジア・インド・南米への深い浸透と地産地消体制が競合との差別化源泉で、2026年1Q(1〜3月)はベトナムで前年同期比約5倍の出荷台数を記録するなど新興国需要が急拡大している。中期経営計画(2025-2027)では二輪の新型20機種超投入・R&D費4,900億円(前中計比+1,300億)を掲げ、OLV事業の構造改革完了後の収益正常化とロボティクスのトップ3確立が中長期の成長ドライバーである。
セグメント別収益構成(直近決算期)
2025-12FY(IFRS)。セグメント利益の合計値(約1,264億)は連結営業利益1,264億と概算一致。セグメント利益はIFRS当期利益ベース。本社費用・消去が含まれるため合計値は連結とは定義が異なる場合がある(IFRS構造)。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | セグメント利益※ | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| ランドモビリティ(二輪車等) | 16,200億 | 63.9% | 1,087億 | 6.7% | D2 |
| マリン(船外機等) | 5,276億 | 20.8% | 536億 | 10.2% | D2 |
| 金融サービス | 1,140億 | 4.5% | 211億 | 18.5% | D2 |
| アウトドアランドビークル(OLV) | 1,485億 | 5.9% | ▲398億 | ▲26.8% | D2 |
| ロボティクス(SPV) | 1,115億 | 4.4% | ▲6億 | ▲0.5% | D2 |
| その他 | 174億 | 0.7% | ▲166億 | ▲95.4% | D2 |
| 合計(連結) | 25,342億 | 100% | 1,264億 | 5.0% | D4 |
※セグメント利益はIFRS当期利益ベース。連結営業利益1,264億とは定義が異なる。
OLV(アウトドアランドビークル)の大幅赤字は北米市場での在庫調整・競争激化に伴う固定資産減損損失が主因。「その他」の▲166億も同期の構造改革費用を含む。2026-12FY会社予想では両セグメントの減損損失消滅+構造改革効果による回復を見込む。
強み・弱み
強み:
- 二輪車の新興国ブランド・地産地消体制: インド・東南アジア・南米に現地生産拠点を持ち、日本メーカー最強の新興国ネットワークを構築。2026年1QにはベトナムでYoY約5倍の出荷台数を記録するなど地産地消モデルが実力を発揮(F1)。
- 船外機の世界首位ポジション: 高馬力帯を中心に世界トップシェアを維持。代替品が少なく価格交渉力が高く、利益率はセグメント単独で10%超(2025年実績)。
- 金融サービスの安定収益: ヤマハファイナンスを軸に18.5%の高利益率セグメントが全体収益を下支え。景気感応度が低い安定収益基盤。
弱み:
- OLV(アウトドアランドビークル)の構造的問題: 北米OHV市場での競争激化・在庫積み上がりで2025年▲398億の大幅赤字。2026年は回復見込みも達成確度に不透明感が残る。
- 為替感応度の高さ: 海外売上比率が約9割と非常に高く、円高局面では業績が直撃を受ける。特に対ドル・ユーロ影響が大。
- ロボティクス(SPV)の収益化遅延: 2025年▲6億の微小赤字で黒字化は2026年以降に持ち越し。成長投資が先行し、中計内のトップ3達成には半導体装置需要の本格回復が必要。
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率は2023年10.1%→2024年7.0%→2025年5.0%と3期連続低下。主因はOLV事業の悪化(減損)と為替逆風で、コア事業(ランドモビリティ・マリン)の収益力は個別では維持。2026年1QはOP626億(+43.8%)と急回復中で、通期目標1,800億の34.8%を1Qで達成(※AI推定)。
- 競争優位の方向性: 二輪・マリンのコア事業での差別化は維持・強化されているが、OLV・ロボティクスの戦略事業は競合に対して劣後中。中計期間内の構造改革完了が全体競争力維持の鍵。
- 株価との関係: 2025実績PER74倍は一時的減損込みで実質的でなく、2026予想純利1,000億換算EPS約103円ベースの予想PER約11.9倍(現株価1,231円÷103円・※AI推定)は割安圏。配当利回り2.84%(35円÷1,231円)はやや低下も依然魅力的。アナリスト目標株価1,225円と現株価1,231円はほぼ一致。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別):
- ランドモビリティ: 二輪車(スポーツ・ビジネス・スクーター)、電動モビリティ
- マリン: 船外機(高馬力〜小型)、ウォータービークル、船舶
- 金融サービス: 割賦・リース(ヤマハファイナンス)
- OLV: ATV、ROV(SSV)、ゴルフカー
- ロボティクス(SPV): 産業用ロボット(表面実装機等)、農業用ドローン
2026年Q1セグメント動向(※AI推定・F1):
- ランドモビリティ: ベトナムYoY約5倍出荷・東南アジア全般好調で牽引
- マリン: 船外機台数は増加も米国関税影響を注視
- ロボティクス: 中国向けSMT需要増・先端パッケージ向け半導体装置の需要伸長
中期経営計画(2025-2027):
- 売上目標:2027年 3.1兆円以上
- 営業利益率目標:2025-2027平均 9%以上
- 投資:R&D費4,900億(前中計比+1,300億、1.2倍)、設備投資1.4倍
- 二輪:新型20機種超フルモデルチェンジ
- ロボティクス:業界トップ3確立、M&A探索
- OLV:北米ROV/LSM市場投資(中計内に判断)
出所:ヤマハ発動機株式会社IR・2026年1Q決算短信(F1)、irbank(D2)、prices.db(D4)。2026年6月10日現在。