03 事業概要
銘柄:デンソー(6902) 更新日:2026年6月6日
事業概要(3行サマリー)
デンソーはトヨタグループ中核の自動車部品メーカーで、電動化・サーマル・モビリティエレクトロニクス・FAを世界35カ国以上に供給する年商7.5兆円規模のグローバルサプライヤーである。SiCパワー半導体・インバーター・ヒートポンプにわたる電動化バリューチェーンと世界首位クラスのカーエアコン技術を軸に、2026/3期営業利益率7.3%はトヨタサプライヤー最高水準を維持している。2026年3月公表のCORE 2030(売上8兆円・営利率10%・ROE11%・5年6.6兆円投資)とローム1.3兆円買収(SiC半導体内製化)が中長期の再評価トリガーとなっているが、2027/3期は関税影響・研究開発費増加により営業利益5,000億円(-9.5%)の減益予想となっている。
セグメント別収益構成(直近決算期:2026/3期、地域別)
irbank取得データは2025/3期まで(地域別)。2026/3期通期実績(売上75,400億・営業利益5,525億)はF1(WebSearch)で確認。セグメント別内訳は非開示のため2025/3期構成比を参考に概算。
| 地域 | 売上高(億円) | 構成比 | 営業利益(億円) | 利益構成比 | 営業利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 29,200 | 40.8% | 2,205 | 42.5% | 7.6% | D2(irbank 2025/3期) |
| 北米 | 18,500 | 25.8% | 981 | 18.9% | 5.3% | D2(irbank 2025/3期) |
| アジア | 16,300 | 22.8% | 1,695 | 32.7% | 10.4% | D2(irbank 2025/3期) |
| 欧州 | 6,466 | 9.0% | 87 | 1.7% | 1.3% | D2(irbank 2025/3期) |
| その他 | 1,260 | 1.7% | 249 | 4.8% | 19.8% | D2(irbank 一部) |
| 合計(連結) | 75,400(F1) | 100% | 5,525(F1) | 100% | 7.3% | F1 |
欧州の利益率1.3%(2025/3期)は他地域比著しく低く、円高・部材費高騰の直撃と生産拠点のコスト効率が主因。アジアは10.4%と高効率(現地調達率の高さが寄与)。その他(非連結子会社等)は19%超の高利益率。
強み・弱み
強み:
- 電動化垂直統合: インバーター・モーター・電池マネジメント・ヒートポンプを自社完結し、トヨタHVシステム(THS)の中核を担う。ローム買収でSiCパワー半導体まで川上統合が進む。
- サーマルマネジメント: カーエアコン世界首位。EV向けヒートポンプへの技術横展開で競合差別化が鮮明。
- FA・ロボティクス(デンソーウェーブ): QRコード発明企業として産業ロボット・自動読取システムに独自生態系を持ち、トヨタグループ外への外販収益が成長中。
- 地政学分散: 日本41%・北米26%・アジア23%・欧州9%の分散構造で単一地域依存リスクが低い。
弱み:
- トヨタ依存: 売上の約50%がトヨタグループ向けで、顧客集中リスクと価格交渉力の非対称性が存在する。
- 欧州低採算: 欧州利益率1.3%(FY2025)は構造的低収益で、欧州EV需要鈍化が重なりリカバリー時期が見通しにくい。
- ローム買収財務負担: 1.3兆円のTOBで自己資本比率低下・短期EPS希薄化が見込まれ、投資家の財務懸念は数年継続する可能性がある。
- 中国競合圧力: 比亜迪(BYD)系部品内製化・本土EV部品メーカーとの価格競争がアジアセグメントの利益率を中期的に圧迫するリスク。
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: FY2022〜FY2026の営業利益率は6.2%→6.7%→5.3%→7.2%→7.3%と改善基調。ただしFY2027は5,000億円(6.5%)への減益予想。CORE 2030目標の10%達成には構造改革・半導体内製化の両輪が必要で、現時点では「方向性は正しいが達成確度は中程度」と評価される(D4/F1)。
- 競争優位の方向性: ボッシュ(利益率約5%)・コンチネンタル(約4%)と比較するとデンソーの7.3%はすでに優位にある。ローム統合によるSiCコスト優位が顕在化すれば差は拡大方向。一方、中国勢の急拡大は電動化部品で収益圧迫リスク。※AI推定含む
- 株価との関係: PBR 1.01x・PER 9.7xはROE 8.4%水準に対し概ね適正〜やや割安。CORE 2030でROE 11%が達成されれば理論PBRは1.3〜1.4x超となり、現株価(1,872円)には20〜40%の上方余地。※AI推定
▼ 中期経営計画 CORE 2030 / 製品別事業概要
CORE 2030(2026年3月31日公表)
- 計画期間: 〜2030年度
- 売上目標: 8兆円
- 営業利益率: 10%(FY2026実績7.3%から約2.7pt改善)
- ROE: 11%(FY2026実績から改善)
- 投資総額: 6.6兆円(5年累計)
- 主要施策: 電動化・CASE部品への重点投資、SiCパワー半導体内製化(ローム統合)、FA事業外販拡大
ローム買収(TOB 約1.3兆円)
- 目的: SiCパワー半導体の垂直統合(現在ローム株式一部保有→過半数取得へ)
- 結果: 2026年6月2日に公開買付け結果発表(自己株式取得終了のお知らせ)
- 戦略的意義: EV向けSiCインバーターの内製コスト削減・供給安定化
- 財務影響: 短期的に有利子負債増・EPS希薄化。中期的にシナジー創出を目指す(D2)
主要製品カテゴリ(概要)
- 電動化製品: インバーター・モーター・BMU・eアクスル(HV/EV向け)
- サーマルシステム: カーエアコン・ヒートポンプ(EV熱マネジメント)
- モビリティエレクトロニクス: ECU・センサー・車載カメラ・通信モジュール
- FA・ロボティクス: SCARAロボット・QRコードリーダー(デンソーウェーブ)
出所:D2(irbank セグメント 2025/3期)、D3(news.db)、D4(prices.db fundamentals)、F1(WebSearch 2026-06-06)。2026年6月6日現在。