03 事業概要
銘柄:アルプスアルパイン(6770) 更新日:2026年6月6日
事業概要(3行サマリー)
アルプスアルパインは、精密電子部品(コンポーネント事業)・スマートフォン/IoT向けセンサーモジュール(センサー・コミュニケーション事業)・Alpineブランドの車載インフォテインメント(モビリティ事業)の3セグメントを柱とする東証プライム上場の電子部品・車載システムメーカーで、FY2026に売上高1兆円超を達成した。精密小型スイッチ・エンコーダ等の車載品質量産技術でTier2ポジションを確立し、コンポーネント事業が連結営業利益の88%以上を担う収益柱として機能している(FY2025実績)。中長期の成長ドライバーは、EV・CASE対応コンポーネントの単価上昇とモビリティ事業の収益構造転換(SDV対応HMI)にあるが、センサー・コミュニケーション事業の赤字脱却が全体利益率改善の鍵を握る。
セグメント別収益構成(直近決算期)
FY2025年3月期(2025年4月30日発表) ※FY2026(2026年3月期)実績は2026/04/30発表済みだが本セグメント別詳細はFY2025が最新確認値
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| センサー・コミュニケーション事業 | 842億円 | 8.5% | ▲33.6億円 | 赤字 | -4.0% | D2 |
| コンポーネント事業 | 3,480億円 | 35.1% | 304億円 | 89.1% | 8.7% | D2 |
| モビリティ事業(モジュール・システム) | 5,372億円 | 54.2% | 56億円 | 16.4% | 1.0% | D2/F1 |
| その他 | 210億円 | 2.1% | 15.2億円 | 4.5% | 7.2% | D2 |
| 合計(連結) | 9,904億円 | 100% | 341億円 | 100% | 3.4% | D4 |
コンポーネント事業1セグメントで連結利益の89%を担う構造。センサー・コミュニケーション事業はFY2023から3期連続赤字(▲33.6億)。最大売上のモビリティ事業(54%)は利益率1%と薄利であり、セグメント間の収益力格差が際立つ。FY2026通期連結では売上高1兆97億円(+2.0%)・営業利益421億円(+23.5%)と大幅改善。(F1)
強み・弱み
強み:
- 精密電子部品の車載品質量産技術: コンポーネント事業でスイッチ・ロータリーエンコーダ・電磁バルブ等をAEC-Q200相当の品質で量産。長年の自動車メーカー向けサプライヤー実績が参入障壁を形成し、利益率8.7%(FY2025)を維持している
- Alpineブランドの車載インフォテインメント資産: モビリティ事業では主要OEMとの長期取引関係を持つAlpineブランドが存在感を持ち、SDV(ソフトウェア定義車両)対応HMI・ADAS統合製品へと展開中
- センサー・モジュール技術のクロス展開: スマートフォン向けカメラ・高周波モジュールで培った小型化・低消費電力技術を車載・IoT向けに横展開できる技術基盤がある
弱み:
- センサー・コミュニケーション事業の慢性的赤字: FY2023〜FY2025と3期連続赤字(FY2025: ▲33.6億)。スマートフォン需要の停滞と中韓競合との価格競争が長期化しており、研究開発費増加(FY2025: 95.7億)にもかかわらず収益改善が遅い
- モビリティ事業の薄利構造: 最大売上セグメント(54%)の営業利益率がわずか1.0%。カーインフォテインメントではパナソニック・デンソー・Harman等との競争激化に加え、OEMの内製化圧力も受けやすい
- 全体利益率の低さ: 連結営業利益率3.4〜4%台(FY2025〜FY2026)は村田製作所(15〜18%台)・TDK(9〜10%台)と比較して大幅に低く、収益体質の抜本的改善が課題
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率はFY2024の2.0%底からFY2025の3.4%→FY2026の4.2%(推定)へと回復基調。FY2027ガイダンスで営業利益485億(+15.4%)と積極目標を設定。ただし純利益の振れが大きく(FY2024: ▲298億、FY2025: +378億)、持続的な2桁ROE達成にはコンポーネント・モビリティ両事業の同時成長が必要。
- 競争優位の方向性: コンポーネント事業の車載向けポジションは安定しているが、村田・TDKとの利益率格差は縮まっていない。センサー・コミュニケーション事業の赤字継続は競合優位の縮小を示唆。FY2026でモビリティ事業が大幅改善した場合(FY2026 3Q時点では▲赤字→+78億転換)は「安定〜緩やかな拡大」方向に転換の可能性。
- 株価との関係: PBR 1.00・PER 19.9(FY2025 EPS 184円ベース、2026/06/05現在)は「概ね適正」。FY2027ガイダンスが達成されればEPS改善でPER低下→割安感が生じるが、FY2026純利益が大幅減少した場合には実効PER拡大で割高感が増すリスクがある。アナリスト目標株価¥2,105(consensus 中立)は現在株価¥2,131とほぼ同水準。(※AI推定)
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別):
- センサー・コミュニケーション事業: スマートフォン向けカメラモジュール・5G/WiFi高周波モジュール、IoT向けBLE/UWBモジュール、ウェアラブル向けセンサーユニット
- コンポーネント事業: 車載・産業用スイッチ(プッシュスイッチ・ロータリーエンコーダ)、電磁バルブ、触覚フィードバックデバイス、車載用センサー、電源モジュール
- モビリティ事業: Alpineブランドの車載ディスプレイオーディオ・カーナビゲーション、ADAS統合HMI、OTA更新対応インフォテインメント
地域別売上: データ取得不可(WebFetch未実施)
中期経営計画(参考): FY2026に売上高1兆円超を達成(実績10,097億)。モジュール・システム事業を「モビリティ事業」に改称しCASE対応製品を強化。FY2027ガイダンスでは営業利益485億(+15.4%)・年間配当64円(+2円増配)を公表。(F1)
出所:アルプスアルパイン決算短信2025年3月期(F1)、irbank取得データ(D2)、株探(F1)、WebSearch(F1)。2026年6月6日現在。