03 事業概要
銘柄:TDK(6762) 更新日:2026年6月6日
事業概要(3行サマリー)
TDKは電子部品・エナジーソリューション分野で世界トップクラスの日系メーカーで、エナジー応用製品(電池)・受動部品(MLCC)・センサー・磁気応用製品の4本柱を持ち、北米・中国・欧州を含む全方位グローバル展開を行う。2026年3月期通期でエナジー応用製品が売上13,703億円(連結比54.7%)・営業利益2,467億円(利益率18%)を稼ぎ、連結営業利益2,724億円(過去最高)の約90%を担う圧倒的な収益柱であり、3期連続最高益を達成している。中長期の成長ドライバーは、EV・AIデータセンター向け電池需要の構造的拡大・Apple向けTMRセンサー量産・MLCC値上げによる受動部品マージン回復の3軸であり、2026年5月にLinergy Power Sdn Bhdの完全子会社化(マレーシア電池関連)も実施した。
セグメント別収益構成(2026年3月期・通期実績)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益① | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エナジー応用製品 | 13,703億円 | 54.7% | 2,467億円 | 85.5% | 18.0% | F1 |
| 受動部品 | 5,932億円 | 23.7% | 418億円 | 14.5% | 7.1% | F1 |
| 磁気応用製品 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| センサ応用製品 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| その他 | 538億円 | 2.1% | −102億円 | 赤字 | −19.0% | D2 |
| 合計(連結) | 25,048億円 | 100% | 2,724億円 | 100% | 10.9% | F1 |
①磁気応用製品・センサ応用製品の2026年3月期セグメント数値は未取得。利益構成比はエナジー+受動部品の合計2,885億円を分母に算出(その他赤字除く)。連結営業利益2,724億円との差異はセグメント間消去・本社費用を反映。
※irbank警告: セグメント利益合計と連結利益の大きな乖離はIFRS構造(本社費用・セグメント間消去)によるもの。
エナジー応用製品はFY2025(19.9%)からFY2026(18.0%)へ若干の利益率低下が見られるが、売上が+16.5%成長した上での水準維持であり、EV・AI需要の構造的拡大を背景に堅調。受動部品は利益率7.1%(FY2025:6.1%から改善)で、MLCC値上げ効果が徐々に反映されつつある。
強み・弱み
強み:
- エナジー応用製品の高収益・高成長継続: FY2026売上13,703億円(+16.5%)・利益率18.0%。EVシフトおよびAIデータセンター向けの構造的需要拡大が継続中(F1)
- センサー技術(TMR)のApple採用・拡大: Apple向けTMRセンサー量産契約確保(2026年3月)。Apple米国製造内製化支援の恩恵を受けるポジション(D3)
- ポートフォリオの多様性と3期連続最高益: 電池・受動部品・センサー・磁気ヘッドを並列に持ち、FY2026は3期連続過去最高営業利益を達成(F1)
弱み:
- 磁気応用製品の構造的縮小: HDDヘッド事業はNAND/SSDへの置換で長期逓減トレンド。FY2025で黒字化(33.8億)も利益率1.5%と低迷、FY2026数値は未開示(D2)
- 受動部品のマージン低迷からの回復途上: 利益率はFY2023の16.3%から底打ちの兆しがあるも(7.1%)、中国製安価MLCCとの価格競争が継続(F1)
- エナジー依存の集中リスク: セグメント利益の85%超がエナジー応用製品に偏在。EV需要失速やApple調達先変更等でポートフォリオの脆弱性が顕在化するリスク(D2)
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率はFY2022〜FY2026で8.8%→7.7%→8.2%→10.2%→10.9%と上昇トレンド。FY2026の10.9%は過去5年で最高。ROEはFY2026で8.95%(FY2025:9.3%からやや低下)。エナジー事業の拡大が利益率を下支えしており、FY2027予想(営業利益率11.4%)でさらなる改善が見込まれる(D4/F1)
- 競争優位の方向性: TMRセンサーのApple採用拡大・EV電池量産によりエナジー・センサー分野の優位は拡大局面にあるが、受動部品では中国勢との価格競争が継続し差が縮小している(F1/D3)
- 株価との関係: PER38.5倍・PBR4.34倍(D1)は、ROE8.95%・営業利益率10.9%に対して割高水準。ただしFY2027予想(EPS118.54円)ベースではPER34.6倍に低下し、成長プレミアムを加味すると概ね適正圏とも解釈できる。アナリストターゲット2,290円に対して現在株価4,116円は乖離が大きく注意(※AI推定)
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品(セグメント別):
- エナジー応用製品: リチウムイオン電池(スマホ・EV・ウェアラブル)、全固体電池(開発中)、Linergy Power Sdn Bhd(マレーシア・2026年5月完全子会社化)
- 受動部品: MLCC(積層セラミックコンデンサ)、フィルムコンデンサ、インダクタ
- センサ応用製品: TMRセンサー(磁気)、温度センサー、圧力センサー、慣性センサー
- 磁気応用製品: HDD磁気ヘッド(市場縮小中)、フェライトコア(中国レアアース規制で代替需要増)
地域別売上構成: データ取得不可(D4に情報なし)
中期経営計画: 「Sustainable Transformation Partner No. 1」を長期ビジョンに掲げ、エナジー応用製品・センサー応用製品を重点育成。今後3年で設備投資7,500億円(過去最大規模)を計画。ROIC重視の事業ポートフォリオ管理を推進中(F1)
出所:TDK 2026年3月期決算短信(F1)、IRBank セグメントデータ(D2)、prices.db fundamentals(D4)、ニュース影響DB(D3)。2026年6月6日現在。