03 事業概要
銘柄:荏原製作所(6361) 更新日:2026年6月2日
事業概要(3行サマリー)
荏原製作所は、ポンプ・流体機械(環境・建築・エネルギー・インフラ向け)と半導体製造装置(CMP)を両輪とする産業機械メーカーで、国内最大手かつグローバル展開を持つ。精密・電子事業(半導体CMP装置)が2025/12期売上の35.7%・営業利益の50.7%を占め、AI半導体サイクルへの高感応度が特徴。E-Plan2028(2028年度目標:売上1.2兆円・営業利益率14.5%以上・ROE18%以上)の下、AI半導体向けCMP需要拡大とエネルギー転換(水素・LNG)が中長期ドライバーとなっており、2026Q1の業績上方修正(純利益+15%)がその蓋然性を裏付けた。
セグメント別収益構成(2025年12月期)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 精密・電子事業 | 3,423億円 | 35.7% | 578億円 | 50.7% | 16.9% | D2 |
| 建築・産業 | 2,419億円 | 25.2% | 153億円 | 13.4% | 6.3% | D2 |
| エネルギー | 2,178億円 | 22.7% | 259億円 | 22.7% | 11.9% | D2 |
| 環境 | 979億円 | 10.2% | 130億円 | 11.4% | 13.3% | D2 |
| インフラ | 571億円 | 6.0% | 47億円 | 4.1% | 8.2% | D2 |
| その他 | 12億円 | 0.1% | −23億円 | − | − | D2 |
| 合計(連結) | 9,583億円 | 100% | 1,138億円 | 100% | 11.9% |
利益構成比はプラスセグメント計(1,167億円)を分母に手動計算。その他は本社費等の調整。
セグメント利益合計(2,015億円)と連結営業利益(1,138億円)の乖離(約877億円)はIFRS構造上の本社費用・セグメント間消去が反映されていないため。
建築・産業の低利益率(6.3%)はプロジェクト型ビジネスの一時コスト増が影響。精密・電子とエネルギーが全体利益を牽引。
強み・弱み
強み:
- 半導体CMP装置の高いシェア: 精密・電子セグメントの営業利益率16.9%(2025/12期)を維持。AI向け半導体需要の拡大に直結するCMP装置で業界上位ポジション。2026Q1でもセグメント売上は前年同期比+23%超で成長加速中。
- 流体機械の幅広い用途展開: 環境(ゴミ処理・廃水処理)、エネルギー(LNG・石油・ガス)、インフラ(上下水道)にまたがる多様な納入実績と長期メンテナンス収益基盤。景気サイクルへの耐性として機能。
- E-Plan2028による成長ロードマップ: 売上1.2兆円・営業利益率14.5%超を数値目標として公表。2026Q1上方修正で計画の達成蓋然性が高まり、投資家への訴求力が高まっている。
弱み:
- 半導体設備投資サイクル依存: 精密・電子事業が利益の50%超を担うため、半導体設備投資の減速局面では業績への影響が大きい(2025-11-14 Q3ショック−13.58%が典型例)。
- 建築・産業の収益性低迷: 利益率6.3%(2025/12期)と他セグメント比で低水準。プロジェクト型受注によるコスト管理の難しさが背景。2024期には4.3%まで低下した経緯あり。
- バリュエーションの高さ: 現株価5,749円に対しアナリスト目標株価5,329円(2026-05-22)を約8%上回り、成長期待が相当程度織り込まれている。
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 過去5期の営業利益率は10.2%→10.4%→11.3%→11.3%→11.9%と一貫して改善。ROEは推計14〜15%台(D4自己資本から計算)で高水準を維持しており、利益率の持続可能性は高い。
- 競争優位の方向性: 精密・電子事業のCMP装置はAI半導体需要を背景に市場拡大中で優位性は拡大方向。2026Q1の+18.4%営業利益成長がそれを裏付ける。ただしApplied Materials等グローバル大手との競合は継続する。
- 株価との関係: PER34.6倍・PBR5.05倍(D4、2026-06-01時点)はE-Plan2028の成長目標(利益率14.5%・ROE18%)を相当程度先取りしており、現時点では適正〜やや割高水準。※AI推定
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- 精密・電子: CMP(化学機械研磨)装置、半導体製造装置用ポンプ、真空ポンプ
- 建築・産業: 給水・排水・消防ポンプ、空調用ポンプ、工業用ポンプ
- エネルギー: LNG・石油・ガスプラント向けポンプ・コンプレッサ、エネルギー回収装置
- 環境: ごみ焼却発電設備、廃水処理設備
- インフラ: 上下水道用ポンプ、海水淡水化装置
中期経営計画 E-Plan2028(2026〜2028年度)
- テーマ:「全体最適を通じた持続的価値創造の実現」
- 2028年度目標:売上収益1兆2,000億円以上、営業利益率14.5%以上、ROIC13%以上、ROE18%以上
- 主要施策:精密・電子(CMP)のさらなる成長投資、グループ経営基盤の拡充、人的資本経営の確立、顧客起点での新価値創出(D2)
出所:irbank.net セグメントデータ(D2)、IFIS株予報(F1)、松井証券(F2)。2026年6月2日現在。