03 事業概要
銘柄:AGC(5201) 更新日:2026年5月29日
事業概要(3行サマリー)
AGCは建築・オートモーティブ・電子・化学品・ライフサイエンスの5事業を展開する世界最大級の総合ガラス・化学素材メーカーであり、売上の約80%以上が海外由来のグローバル企業。独自のフッ素化学技術とガラス溶融技術を核に、フッ素系化学品は世界シェアトップクラス、FPD用ガラス基板・半導体向けマスクブランクスでも高水準のシェアを持つ(電子セグメント利益率13.5%・化学品9.2%、2025-12FY)。FY2026は売上2兆2,000億円・営業利益1,500億円(前年比+17.7%)を会社予想として掲げており、オートモーティブの黒字継続・電子セグメントの半導体需要回復がF2026業績回復の主エンジンとなっている。
セグメント別収益構成(直近決算期)
直近決算期:2025年12月期(2026年2月6日発表)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | セグメント利益※ | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 化学品 | 5,795億円 | 28.1% | 530億円 | 41.6% | 9.2% | D1 |
| オートモーティブ | 5,203億円 | 25.3% | 293億円 | 23.0% | 5.6% | D1 |
| 建築ガラス | 4,388億円 | 21.3% | 173億円 | 13.6% | 3.9% | D1 |
| 電子 | 3,532億円 | 17.1% | 475億円 | 37.3% | 13.5% | D1 |
| ライフサイエンス | 1,294億円 | 6.3% | △223億円 | -17.5% | -17.2% | D1 |
| セラミックス・その他 | 376億円 | 1.8% | 26億円 | 2.0% | 6.9% | D1 |
| 合計(連結) | 20,588億円 | 100% | 1,274億円 | 100% | 6.2% |
※セグメント利益はIFRS基準のセグメント営業利益。連結営業利益公表値1,275億円(D4)とほぼ一致。構成比は絶対値から手動計算。
セグメント利益合計と連結営業利益に乖離が見られる場合はIFRS構造(本社費用・消去等が除外)によるもの。
化学品・電子の高利益率に対し、ライフサイエンスが△223億円の損失を計上。CDMO事業の固定費負担が全体利益率を約1.5%pt圧迫している。
強み・弱み
強み:
- フッ素化学品(コーティング・半導体プロセス向け)・FPD用ガラス基板・自動車用ガラスで世界トップクラスのシェアを持ち、技術的参入障壁が高い
- 半導体製造装置向け高純度材料・マスクブランクスなど技術要件が厳格な産業向けにロングタームサプライヤー契約を多数保有し、スイッチングコストが高い
- 売上の8割以上が海外(欧州・北米・アジア)で、グローバルな製造拠点と販売ネットワークにより地域リスクを分散。FY2026 1Qは最終利益3.4倍増益と急回復
弱み:
- ライフサイエンス(CDMO)事業がFY2024・FY2025と連続赤字(△223億)。大型買収の投資回収に不確実性が残り、追加減損リスクが続く
- 建築・オートモーティブの従来型ガラス事業は市況サイクルに左右されやすく、中国不動産低迷が利益率を押し下げる(建築ガラス利益率3.9%)
- 営業利益率がFY2021の12.0%からFY2025の6.2%へ半減しており、構造的な収益力回復が投資家の課題認識となっている
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率はFY2021の12.0%からFY2025の6.2%へ低落したが、FY2026会社予想(営業利益1,500億円)が実現すれば利益率6.8%と回復軌道。コアの化学品・電子は高利益率を維持しており、CDMOの整理が進めば構造的回復余地あり。
- 競争優位の方向性: フッ素化学・電子ガラスでは高水準のシェアを維持し優位は堅固。一方、建築・車両ガラスは中国・欧州メーカーとのコスト競争が継続しており差は縮小方向。
- 株価との関係: PER21.1倍・配当利回り3.05%(2026-05-28時点、D4)。現在株価6,885円はアナリスト目標株価5,868円(中立)を大幅超過しており、短期的には割高圏に位置する(※AI推定)。FY2026業績回復の具体化が割高の正当化に必要な水準。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
- 化学品セグメント(売上首位・利益率9.2%): フッ素化学品(環境対応コーティング・半導体向けドライエッチングガス)、塩化ビニル・ウレタン原料。特にフッ素化学品は環境規制対応・半導体製造工程向けで成長余地大。
- 電子セグメント(利益率最高13.5%): FPDガラス基板(LCD・有機EL向け)、半導体製造装置向け高純度石英・マスクブランクス。AI投資拡大に伴う半導体需要増が追い風。
- 建築ガラスセグメント: 断熱・省エネ機能ガラス(欧州中心)、建築用合わせガラス。EU省エネ指令(EPBD)改定が長期的な需要を支援。
- オートモーティブセグメント(利益率5.6%、黒字継続): 自動車フロントガラス・サイドガラス。EV向けプライバシーガラス(調光ガラス)や軽量化ガラスが新たな付加価値源。FY2023の赤字から大幅改善。
- ライフサイエンスセグメント(赤字△223億): 医薬品CDMO(原薬・製剤の受託製造)、バイオ医薬品受託。大型M&A後に需要回復遅延で評価額下落、追加減損リスク継続。
- 地域別売上: 海外売上比率は約82%(※AI推定。グローバル製造拠点構成から)。欧州・北米・アジアに分散。
- 中期経営計画: FY2026会社予想は売上2兆2,000億円(前年比+6.9%)・営業利益1,500億円(+17.7%)・純利益770億円(+11.3%)。CDMO黒字化・電子セグメントの成長加速が主要施策。
出所:irbank.net セグメントデータ(D1)、prices.db fundamentals(D4)、WebSearch(F1)。2026年5月29日現在。