03 事業概要
銘柄:第一三共(4568) 更新日:2026年5月19日
事業概要(3行サマリー)
第一三共はグローバル医薬品企業で、日本・北米・欧州・アジアを主要市場とし、医薬事業の単一セグメントで研究開発・製造・販売を一貫して行う。独自のDXd ADC(トポイソメラーゼⅠ阻害剤搭載型抗体薬物複合体)技術を軸に、エンハーツが2025年度(FY2025)年間売上5,400億円超(AZ共同販促費含む推計)を達成し、アストラゼネカとの共同販促で世界50か国超に展開している(F1・D4)。2026年5月に第6期中期経営計画(2026〜2030年度)を発表し、5本のDXd ADCを主軸とする「Innovation-driven Specialty Care Company」への進化が最大の成長ドライバーとなっている(F1)。
セグメント別収益構成(直近決算期)
単一セグメント(医薬事業)。直近決算:2026年3月期(FY2025)通期実績(2026年5月11日発表)。
単一セグメント
連結売上収益 21,230億円(前期比+12.5%)、営業利益 2,291億円(前期比▲31.0%)、純利益 2,958億円(前期比±0%、微減)。営業利益の大幅減は ADC 製品供給計画見直しに伴う損失(約149億円)計上が主因(F1)。
主要製品・事業内容
主力製品(がん領域ADC):
| 製品名 | 標的 | 適応 | 共同開発先 | 現状 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン) | HER2 | 乳がん・胃がん・肺がん(HER2発現全域) | アストラゼネカ | 50か国超承認、最大ブランド | D4/F1 |
| ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン) | TROP2 | 非小細胞肺がん・乳がん | アストラゼネカ | 2025年承認・販売開始 | F1 |
| パトリツマブ デルクステカン | HER3 | 非小細胞肺がん等 | メルク | 臨床後期段階 | F1 |
| イフィナタマブ デルクステカン | B7-H3 | 小細胞肺がん等 | ─ | 臨床後期段階 | F1 |
| ラルドタツグ デルクステカン | CDH6 | 卵巣がん等 | メルク | 臨床段階 | F1 |
非がん領域(成熟品):
- オルメテック(高血圧)、メマリー(アルツハイマー)等の長期収載品。がん領域へのシフトに伴い比率低下傾向(※AI推定)
地域別売上構成(FY2025通期、概算)
| 地域 | 構成概算 | 出典 |
|---|---|---|
| 北米 | 約40〜45%(エンハーツ主体) | ※AI推定 |
| 欧州 | 約15〜20% | ※AI推定 |
| 日本 | 約20〜25% | ※AI推定 |
| アジア・その他 | 約10〜15% | ※AI推定 |
詳細地域別数値は決算補足資料に記載。地域構成は概算(※AI推定)。
中期経営計画(第6期:2026〜2030年度)
第6期中期経営計画(2026年5月11日発表):
- 計画期間:2026年度〜2030年度(FY2026〜FY2030)
- 目標:5本のDXd ADCによるグローバルがん治療のリーダーシップ確立
- エンハーツは「史上最大の乳がん治療薬」を目指す(F1)
- 2027年3月期(FY2026): 売上収益 約18,000億円(前期比▲11.8%、フォシーガ販売提携終了影響)、来期の具体的な利益数値はFY2026予想欄参照
第5期中計(2021〜2025年度)振り返り:
- FY2025実績: 売上21,230億円(目標1.6兆円を大幅超過)、がん領域売上9,000億円以上(目標6,000億円超過)(F1)
強み・弱み
強み:
- ADC技術の先行優位: DXd ADC技術を軸に5本の後期開発品。エンハーツは競合比3〜5年の技術リード、HER2全発現域をカバーする独自ポジションを確立(F1)
- ビッグファーマとの強力な提携: アストラゼネカ(エンハーツ・ダトロウェイ)、メルク(パトリツマブ等)との共同開発・販売体制でグローバル展開を実現。提携マイルストーンが財務安定にも寄与(D4/F1)
- 業績成長の継続: 売上収益4期連続2桁成長(FY2021: 10,449億 → FY2025: 21,230億)(D4/F1)
弱み:
- エンハーツ依存リスク: 全社売上の25%超を占め、特許切れ(2037年頃想定)や競合ADCによるシェア低下が業績に直結(※AI推定)
- ADC製造の損失リスク: 2026年5月に供給計画見直しで約149億円の損失を計上。CMOとの最低購入義務との乖離が継続的なコストリスク要因(F1)
- 非がん領域の縮小: 高血圧・アルツハイマー等の成熟品はADC拡大の陰で比率低下、事業集中リスクが高まっている(※AI推定)
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 売上成長は継続(CAGR約20%、FY21〜FY25)だが、FY2025は供給計画見直し損失で営業利益率が17.6%から10.8%台(推定)へ一時的に低下。ADC特許保護期間中は高薬価が維持でき、構造的改善は継続見込み(D4/F1)
- 競争優位の方向性: エンハーツの術前補助療法承認拡大、ダトロウェイの新適応承認が進行中で優位は概ね拡大方向。ただし中国・韓国のADC後発企業台頭と欧米ビッグファーマの競合ADC開発が2〜3年後の競争強度を高める見込み(F1)
- 株価との関係: 株価2,621円(2026年5月18日終値)、時価総額約4,851億円(D1)。PER 18.3倍(D1)は成長期待を反映した水準だが、ADC供給損失・業績下方修正後の評価は若干軟化。アナリスト目標株価4,159円に対し現在株価は▲37%乖離で割安感あり(D4/※AI推定)
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
- 主要製品(セグメント別): 医薬事業の単一セグメントのため製品別で管理。エンハーツが全社売上の25%超を占め、ダトロウェイが立ち上がり期。非がん成熟品は比率低下中
- 地域別売上構成: 決算補足資料に詳細記載。北米が最大市場(エンハーツのグローバル展開による)
- 中期経営計画: 第6期(2026〜2030年度)は2026年5月11日発表。5本のDXd ADCを軸に「Innovation-driven Specialty Care Company」への転換を目指す。エンハーツの術前・術後療法承認拡大とダトロウェイの適応拡大が主要施策
出所:第一三共 FY2025決算短信・中計説明会(F1、2026年5月11日)、D4(prices.db fundamentals)。2026年5月19日現在。