03 事業概要
銘柄:クラレ(3405) 更新日:2026年5月25日
事業概要(3行サマリー)
クラレは1926年創立の機能性化学品大手で、繊維・機能材料・ビニルアセテート・イソプレン・トレーディングの5セグメントを軸に国内外で展開する。独自開発製品が多く、POVAL(PVA樹脂)・EVAL(EVOH樹脂)・SEPTON(水添スチレン系エラストマー)など「世界No.1シェア製品」の売上比率は全体の6割超に達し、製品差別化と高参入障壁を形成している。中期経営計画「PASSION 2026」では成長・拡大事業(エバール・活性炭・歯科材料)への集中投資とイソプレン・繊維事業の収益改善による事業ポートフォリオ高度化を最終目標年の2026年に向けて推進中。
セグメント別収益構成(直近決算期 2025年12月期)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 繊維 | 563億円 | 7.0% | 26.3億円 | 3.3% | 4.7% | F1 |
| 機能材料 | 2,022億円 | 25.0% | 108億円 | 13.7% | 5.4% | F1 |
| ビニルアセテート | 3,872億円 | 47.9% | 625億円 | 79.2% | 16.2% | F1 |
| トレーディング | 673億円 | 8.3% | 60.4億円 | 7.7% | 9.0% | F1 |
| イソプレン | 611億円 | 7.6% | ▲48.6億円 | — | ▲8.0% | F1 |
| その他 | 344億円 | 4.3% | 18億円 | 2.3% | 5.2% | F1 |
| 合計(セグメント計) | 8,085億円 | 100% | 789億円 | 100% | 9.8% | |
| 連結(開示値) | 8,084億円 | — | 589億円 | — | 7.3% | D4 |
セグメント計の営業利益(789億)と連結営業利益(589億)は200億差。本社費・消去・減損損失(2025年12月期に大規模計上)が差異の主因。構成比はセグメント合計から手動計算。
ビニルアセテートが連結利益の約8割を稼ぐ一方、イソプレンが48.6億の赤字を計上。FY2025は2025年のビニルアセテート需給緩和とイソプレン赤字拡大が利益率低下の主因。
強み・弱み
強み:
- 世界No.1製品の厚い参入障壁: POVAL・EVAL・SEPTONなど複数製品で世界首位。食品包装バリアフィルム向けEVALは代替品が乏しく価格交渉力が高い。(F2)
- 独自技術による高利益率セグメント: ビニルアセテートセグメントの営業利益率16.2%はセグメント内で最高水準。ジェネスタ(耐熱ポリアミド)は世界唯一の製造者であり、生成AIサーバー向けコネクタ採用が拡大中。(F2)
- 株主還元の強さ: 2026年創立100周年記念配当10円を加えた合計64円配当(利回り約4.0%)が下値支持要因。(D2)
弱み:
- イソプレン赤字と構造問題: イソプレンセグメントは2025年12月期も48.6億の営業損失。FY2025で大規模減損を計上したが、根本的な収益改善は途上。(D2、F1)
- 利益の変動幅が大きい: 純利益がFY2022の543億からFY2025の75億へ急落するなど、ビニルアセテート市況・原材料価格サイクルへの依存度が高い。(D4)
- 中計目標との大きな乖離: PASSION 2026の当初営業利益目標900〜1,000億に対しFY2025実績589億(達成率約65%)と乖離が大きく、最終年のFY2026での達成は困難な見通し。(F2)
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 営業利益率は過去5期でFY2022の11.5%からFY2025の7.3%へ低下基調。FY2026は経常利益+24%ガイダンスを発表しており回復方向性は確認済みだが、FY2026 1Q(2026年1-3月)の経常利益は前年同期比▲23%と依然として回復途上。
- 競争優位の方向性: EVAL・POVALの世界シェアは維持。生成AI向けコネクタ需要でジェネスタの成長が見込まれるが、ビニルアセテートは需給緩和による価格競争圧力が続いており差は緩やかに縮小中。
- 株価との関係: PER 67.0(D4)は高水準に見えるがFY2025の一時的大幅減益(EPS23.6円)反映のため正常化後は割安に転換する可能性がある。アナリスト目標株価1,703円(現在1,581円、約+7.7%)・中立評価。FY2026の回復幅が株価正当化の鍵(※AI推定)。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- 繊維: KURALON(PVA繊維、セメント補強用途)、人工皮革CLARINO
- 機能材料: EVAL(EVOHバリア樹脂、食品包装)、POVAL(PVA樹脂)、デンタル(Clearfil)、活性炭
- ビニルアセテート: メタノール、酢酸、VAM(酢酸ビニル)、SEPTON(エラストマー)、ジェネスタ(耐熱ポリアミド)
- トレーディング: 化学品等の輸出入
- イソプレン: イソプレン誘導体、LCポリマー
中期経営計画「PASSION 2026」(2022〜2026年)
- 売上高目標: 7,500億円(修正後)、営業利益目標: 1,000億円
- 主要施策: サステナビリティ対応製品比率60%へ引上げ、成長・拡大事業(エバール・活性炭・歯科材料)への重点投資、イソプレン・繊維の収益改善
- 進捗: FY2025は計画を大幅に下回る業績(売上8,084億、営業589億)。最終年FY2026で回復軌道に向けた取り組み継続中。
出所:irbank.net セグメントデータ(F1)、WebSearch/株探・ログミーファイナンス(F2)。2026年5月25日現在。