03 事業概要
銘柄:東レ(3402) 更新日:2026年5月25日
事業概要(3行サマリー)
東レは日本最大の総合素材メーカーで、繊維・機能化成品・炭素繊維複合材料・水処理膜を5大陸に展開し、売上2.6兆円規模のグローバル素材企業。炭素繊維で世界最大のシェアを持ち、ボーイング787やエアバスA350の主要CFRP供給者として航空向け長期契約を獲得、競合が容易に模倣できないプロセス技術と一貫生産体制が差別化要因。中長期の成長は「IGNITION 2028」(2026年3月公表)における炭素繊維・水処理膜の容量拡大と、創立100周年(2026年)を機とした資本政策の転換(増配・自社株買い)が主軸。
セグメント別収益構成(2026年3月期)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | セグメント利益※ | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 繊維事業 | ─(参考:2025/03: 10,100億) | ─ | 680億円 | 38.1% | ─ | F1 |
| 機能化成品事業 | ─(参考:2025/03: 9,449億) | ─ | 563億円 | 31.6% | ─ | F1 |
| 炭素繊維複合材料事業 | ─(参考:2025/03: 3,000億) | ─ | 176億円 | 9.9% | ─ | F1 |
| 環境・エンジニアリング事業 | ─(参考:2025/03: 2,365億) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| ライフサイエンス事業 | ─(参考:2025/03: 532億) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| その他 | 202億円(+14%) | ─ | 24.7億円 | 1.4% | 12.2% | D4 |
| 合計(連結) | 25,851億円 | 100% | 事業利益1,419億円 | ─ | 5.5% | F1 |
※セグメント利益はIFRS事業利益ベース(消去・全社費控除前)。連結営業利益は972億円(定義が異なる)。2026/03期のセグメント別売上高は開示資料確認中(irbank未更新)。繊維680億→機能化成品563億→炭素繊維176億の順で利益貢献。前期比で炭素繊維が▲49億と最大の減益要因。
セグメント別売上高(2026/03期):開示資料がirbank未更新のため取得不可(F1取得日現在)。前期(2025/03)実績を参考として記載。
強み・弱み
強み:
- 炭素繊維の世界最大シェア: 航空向け(ボーイング・エアバス)長期供給契約で参入障壁が高く、プロセス技術の模倣困難性が持続的優位を形成。風力発電・水素タンク・EV向けへの用途多様化が進展(F1)
- 水処理膜の世界首位: 逆浸透膜(RO膜)で世界トップシェアを保有。脱炭素・水資源不足という構造的需要に乗り、環境・エンジニアリング事業は利益率10%超(F1)
- 創立100周年の資本政策強化: 2026/05に100周年記念配当+2円を発表。2027/03期は配当26円(前期比+6円増配)と積極的な株主還元姿勢に転換(D2)
弱み:
- ナフサ依存のコスト構造: 繊維・機能化成品はナフサ(石油系原料)依存度が高く、資源価格上昇が直接コスト増となる。2026/03期の連結営業利益は972億円(▲23.7%)とコスト増の影響が顕著(F1)
- 炭素繊維の利益減速: セグメント利益が176億円(前期225億比▲49億)と大幅減少。航空向け増産投資が先行し、利益率が低下している(F1)
- ライフサイエンス事業の収益化遅延: 小規模セグメントながら収益化に時間を要しており、R&D投資の回収が不透明(D4)
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 過去5期の営業利益率は2.3〜5.5%(2024/03期に大幅悪化後V字回復、2026/03はコスト増で再低下)。事業利益率は5.5%を維持。炭素繊維・水処理膜は参入障壁が高く利益の下限は保持されるが、繊維・化成品は景気・原材料依存で安定性に欠ける(D4/F1)
- 競争優位の方向性: 炭素繊維は航空・EV・風力向けの需要構造シフトで拡大基調。IGNITION 2028における大規模投資(設備投資費2025/03期838億)が利益率を一時的に圧迫しているが、中期的には優位性拡大を見込む。水処理膜も中東・アジアインフラ整備を背景に安定成長(※AI推定)
- 株価との関係: PBR0.94(2026-05-22)、PER16.0倍。ROE4.4%は推定資本コスト(7〜8%)を下回る状態が継続。ただし2027/03期EPS61.8円予想に対し現株価1,085円はPER17.6倍でほぼ適正〜やや割高。増配・自社株買いによる株主還元の充実が割安感を一定程度補完(D4/F1/※AI推定)
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- 繊維:ポリエステル・ナイロン・アクリル繊維、超極細繊維(Ultrasuede等)
- 機能化成品:ポリエステルフィルム、電子部品用樹脂、エンジニアリングプラスチック
- 炭素繊維複合材料:炭素繊維(Torayca)、プリプレグ、航空機構造部材
- 環境・エンジニアリング:逆浸透膜(RO膜)、中空糸膜、水処理システム
- ライフサイエンス:医薬品(糖尿病・腎疾患領域)、医療機器(人工腎臓など)
地域別売上構成: 取得不可(D2 irエラー)
中期経営計画
- TORAY VISION 2050(長期ビジョン、2026年3月25日公表)(D2)
- TORAY Challenges 2035(長期経営方針)(D2)
- IGNITION 2028(中期経営課題、2026〜2028年度)(D2)
- 2027/03期目標:売上収益約2兆8,300億円(+9.5%)、事業利益約1,600億円(+12.7%)(F1)
出所:irbank.net(F1)、prices.db fundamentals(D4)、IR開示記事(D2)、WebSearch(F2)。2026年5月25日現在。