03 事業概要
銘柄:味の素(2802) 更新日:2026年5月24日
事業概要(3行サマリー)
味の素は調味料・食品・冷凍食品・ヘルスケア事業を展開する食品・アミノ酸メーカーで、海外売上比率65%超を誇り120ヵ国以上にグローバル展開している。半導体向け絶縁材ABF(アジノモト・ビルドアップ・フィルム)で世界シェア95%超を保有し、FY2026ではヘルスケア等セグメントが事業利益662億円(前年比+45%)を達成、全社の稼ぎ頭となった(F1)。中長期では非食品事業の利益貢献比率50%(2030年目標)とアミノ酸CDMOを通じた医薬品製造受託の拡大が固有の成長エンジンとなり、FY2027では事業利益1,970億円・配当50円への更なる成長を見込む(F1)。
セグメント別収益構成(2026年3月期)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 事業利益 | 利益構成比 | 利益率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 調味料・食品 | 8,960億円(※2025年3月期値) | 56.6% | 1,430億円 | 62.9% | ─ | F1 |
| ヘルスケア等 | 3,284億円(※2025年3月期値) | 20.7% | 662億円 | 29.1% | ─ | F1 |
| 冷凍食品 | 2,894億円(※2025年3月期値) | 18.3% | 84億円 | 3.7% | ─ | F1 |
| その他 | 150億円 | 0.9% | ─ | ─ | ─ | D4 |
| 合計(連結) | 15,837億円 | 100% | 1,811億円 | 100% | 11.4% |
セグメント売上高の2026年3月期値は取得中(D4には2025年3月期までのセグメント売上あり)。セグメント事業利益はFY2026決算発表資料(F1)より取得。連結事業利益1,811億円、利益率11.4%。冷凍食品は前年比▲35%と苦戦、ヘルスケア等が+45%で全社を牽引した構図。
※ セグメント売上は2025年3月期データを記載(2026年3月期のセグメント別売上高は取得不可)。
強み・弱み
強み:
- ABFの事実上の世界独占:半導体絶縁材ABFで世界シェア95%超。AI/HPC向け最高仕様帯では代替材料が存在せず、NVIDIA等の主要AIチップ製造に不可欠な素材。FY2026でヘルスケア等が事業利益+45%を達成し業績を主導(D4・F1)
- うま味調味料の世界的ブランド力:「AJINOMOTO」は120ヵ国以上で販売し、新興国(ブラジル・タイ等)でトップシェアを維持。価格転嫁力が強く、調味料・食品セグメントが事業利益1,430億円と全社の62.9%を稼ぐ(D4)
- アミノ酸技術の多角展開:単一の技術基盤から食品→医薬CDMO→半導体材料と高利益率事業を創出する希少な垂直展開モデル。全社事業利益率がFY2025の7.4%からFY2026の11.4%に急回復(F1)
弱み:
- 冷凍食品セグメントの業績不安定:FY2026で事業利益84億円(前年130億円から▲35%)と低迷。構造的なコスト高と需要変動の影響を受けやすい
- 一時益依存の利益増:FY2026純利益1,347億円の約485億円は本社ビル売却益であり、実力ベースの純利益は大幅に下回る。FY2027純利益予想は1,200億円(▲11%)に反落見込み(F1)
- 海外為替エクスポージャー:海外売上が65%超のため、円高局面で収益が大幅に目減りする構造的脆弱性がある
競争優位の耐久性評価
- 持続可能性: 事業利益率はFY2025の7.4%(底)からFY2026の11.4%に急回復し、ABF主導の利益構造が復活した(F1)。FY2027では1,970億円(+8.7%)を目指しており、回復トレンドは継続見込み。ROEはFY2026の純利益急増により一時的に上昇するが、FY2027は特殊益剥落後の実力ベースに戻る点に注意(※AI推定)。
- 競争優位の方向性: ABFはAI投資加速を背景にFY2027で事業利益800億円(+21%)を計画。食品では新興国での価格転嫁が継続し、競合との差は安定的。積水化学等の参入懸念はあるが、AI向け最高仕様帯での優位性は数年維持可能(F1・※AI推定)。
- 株価との関係: 現在PER75.9倍・PBR6.82倍は食品株として極めて高水準(D4)。ABFのプレミアムとアミノ酸技術の無形資産価値を反映しているが、現在の株価(5,300円)はアナリスト目標株価(5,293円)とほぼ一致しており、アップサイドは限定的(D4・※AI推定)。
▼ セグメント内訳・地域別・中計(詳細)
主要製品・サービス(セグメント別)
- 調味料・食品:うま味調味料(味の素・ほんだし等)、液体旨味調味料、日本・海外食品
- 冷凍食品:家庭用冷凍食品(ギョーザ等)、業務用食品
- ヘルスケア等:アミノ酸(医薬・機能性素材)、ABF(半導体絶縁材)、動物栄養(飼料用アミノ酸)、CDMO(遺伝子治療薬製造受託)
中期経営計画(ASV2030ロードマップ)
- 2023年2月発表。従来型中期計画を廃止し、バックキャスト経営に移行
- 2030年目標:非食品事業の利益貢献比率50%
- FY2026のヘルスケア等事業利益662億円(全社比29.1%)は2030年目標達成への道筋
- 自己株式取得1,300億円を実施(FY2026)。株主還元と成長投資の両立を推進(F1)
出所:味の素IR資料・決算発表資料(F1)、irbank.netセグメントデータ(D4)。2026年5月24日現在。